徳島県美波町。この数年でサテライトオフィスが次々とこの地に作られ、いま話題の町です。いままで町にはいなかった、ITエンジニアやクリエイターが集まっているのですが、なぜこの町に集まるのか? その理由の大きなひとつに、この町が元来持つ魅力があります。自然や町の雰囲気です。
この美波町一帯がサーフスポットとして有名で、サーフィンをしながら働ける魅力的な環境、という話はしばしばメディアでも紹介されていますが、これも魅力のひとつ。実際に行ってみるとそれ以外にもいろいろありました。towner編集部が、実際に行って見て感じた美波町の魅力の、これもほんの「一端」なのですが、特に体感値として印象の強かった5つのポイントをご紹介したいと思います。
一生分くらいのウミガメが見れる!? ウミガメの産卵地、大浜海岸
美波町の中心地、日和佐地区にある大浜海岸はウミガメの産卵地として有名な砂浜。連続テレビ小説「ウェルかめ」のロケ現場としても使われています。そして実はこのウミガメの産卵、タイミングがよければ実際に見ることができるんです!

ウミガメが産卵に来る大浜海岸。夏場にはトライアスロンの海上にもなる
季節は夏。海には監視員がおり、ウミガメが産卵のために上陸し終わり産卵を始めたタイミングから近くで観察できるそう(上陸途中は近寄ってはダメとのこと)。ただし、毎晩産卵に訪れるとは限りません。しかも常に夜の海岸に張り付いているわけにもいきませんよね。
そんなときに登録しておきたいのが「ウミガメール」。美波町観光協会が提供するサービスで、ウミガメが産卵に訪れるとメールで連絡してくれるサービスです。夏の美波町を訪れた際は、ぜひ登録を!
http://www.minami-kankou.com/news/archives/51
ちなみに海岸付近には「日和佐うみがめ博物館カレッタ」があり、屋外の大ガメプールでは大人のウミガメが泳いでおり、おそらく一生分くらいのウミガメを見ることができます(子ガメは館内で飼育されています)。

カレッタのウミガメプール。かなりの頭数を確認できます。館内も魅力的な展示ばかり
地元民の穴場レジャースポット、日和佐川のくじら岩
元々美波町は「日和佐町」と「由岐町」が平成18年に合併してできた町。その日和佐の名を冠する日和佐川は、美波町の住人にとっては慣れ親しんだレジャースポット。河口から上ってしばらくは田畑に囲まれたのどかな風景の間を走りますが、更に上流に上ると渓谷となり、川遊びができるのです。

日和佐川のくじら岩。今も昔も、地元民の夏場のレジャースポット
中でもくじら岩は地元の方では知らない人はいないほどの隠れた名所。水も抜群にキレイです。川に飛び込み、泳ぎ、河原でゆったり。車で10分ちょっと走らせるだけでこの環境は羨ましい限り。「美波町」という名前は海を彷彿としますが、山も川もものすごく近くにあるんです。
ちなみに、towner編集部が訪れたときには地元の方に案内して頂き日和佐川のテナガエビ漁(漁と言ってもヘッドライトと小さな玉網だけでできる簡単なもの)を楽しませていただきました。揚げたてのテナガエビ、激ウマです。

日和佐川でテナガエビ漁に精を出す大人たち。夕暮れの、田畑の匂いを少し含んだしっとりした空気もまた魅力

揚げれば真っ赤なテナガエビ。そのままボリボリ食べられます。ビールと合いすぎる!
黒潮の海食跡もいいけれど……太平洋をぼんやりと眺めてほしい、千羽海岸
美波町の中心地から車を西へ、南阿波サンラインという観光道路を走らせるとたどり着くのが千羽海岸。展望台から黒潮が削りとった荒々しい断崖で有名な景勝地なのですが、個人的には展望台眼前に広がる太平洋の景色もなかなかのモノ。これをぼんやりと眺めてほしいんです。

美波町の西側、南阿波サンラインの展望台
空と海の境界線が分かるか分からないかくらい、目の前は少し霞がかかったブルー一色で遠近感も薄れ、ふと吸い込まれそうな気持ちになります。なんと言うか、心のデトックス?デフラグ?なんでもよいのですが、雑念がすぅーっと消えていきます。いろいろモヤモヤお抱えの方は、ぜひ車をひとっ走りして太平洋を拝んでみてください。
ちなみに、ここへ向かう南阿波サンラインは実は16.5キロも続く観光道路。なかなかの絶景ルートですので、ドライブ好きの方も普通におすすめです!
港町の細い道、「あわえ」のある風景
町の風情もなかなか味わいがあります。特に漁港に面した日和佐地区は古き良き町並みを残したエリア。町中を歩くと気づくのが、家と家の間の、人一人が通れるくらいの細い路地。用水路を確保するための小道らしいのですが、この細い路地を地元の方々は「あわえ」と呼んでいます。

家と家の間の路地。日和佐地区ではこれのことを「あわえ」と呼んでいます
このあわえのある景色、なんてことない景色なのですが町中を歩いていてどこかほっとするのは、この「あわえ」の存在も大きいような気がします。
ちなみに、美波町で創業された「株式会社あわえ」さんの社名の由来もこの言葉から。あわえが多く残るエリアの、元銭湯をリノベーションしたオフィスに拠点を持たれています(オフィス横もあわえが通っていました!)。

日和佐地区に古くからある銭湯・初音湯をリノベーションして作られた株式会社あわえのオフィス。地元の方が立ち寄れるコミュニティスペースも備える
神は細部に宿る。赤松地区の田園風景
海のイメージの強い美波町、実は田畑もけっこうあります。中でも印象的だったのが、美波町の北西に広がる赤松地区。特段派手さはないのですが、「なんとなく」レベルで感じる景色の美しさ。シンプルに広がる田園風景なのですが、キレイにしているなあという印象です。よくよく聞いてみると、このエリアは特に美観の意識が強い地区らしく、段々畑を見てみても細かいところまで丁寧さを感じます。神は細部に宿る、とよく言いますがまさにこのこと。全体から感じるなんとなくの美しさは、細部のこだわりからできていたんですね。

美波町の北西、赤松地区の田園風景。やたらと田んぼが美しいなと思っていたら、赤松地区自体、美観の意識がかなり高い地区とのこと

石垣積みされた段々畑。何気ない風景なのですが、整然とした美しさが
いくつか紹介してきましたが、これも美波町の魅力のほんの一端。もっと伝えたいこともありますし、まだまだ知らないこともあると思います。こんな町でサテライトオフィスを構える(本社を移された企業もいらっしゃいます)。これからの新しいライフスタイルと言いつつ、一方で昔ながらの暮らしなんじゃないかなとも思えます。そんなライフスタイルが現在進行形で生まれている美波町。ぜひ一度遊びに来てみてください!
更に言うと、こういったアセットは美波町にだけあるわけではありません。日本中、どこにだって、その場所なりの美しさや面白さがあるはずです。日本をまだまだ楽しみ尽くせていないはず。そう考えると、ワクワクしてきませんか?
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